2009年度 科学技術社会論(STS) 学会シンポジウム 現代の安全・環境論争とその科学的位相 ― 西日本の大型開発事業をめぐって ―日時: 2009年10月3日(土) 13 : 30 - 17 : 00 会場: 九州大学21世紀交流プラザⅠ 1階多目的ホール (九州大学箱崎理系地区/福岡市東区箱崎6-10-1) アクセス: キャンパスマップ 理系地区の34番 参加費: 無料 プログラム13:30-13:40 開会の辞と趣旨説明 吉岡斉(九州大学大学院比較社会文化研究院) 13:40-14:10 「プルサーマル問題」 吉岡斉(九州大学大学院比較社会文化研究院) 14:10-14:40 「諫早湾干拓問題」 時津良治(有明海漁民・市民ネットワーク事務局) 14:40-15:00 休憩 15:00-15:30 「川辺川ダム問題」 高橋ユリカ(フリー・ジャーナリスト) 15:30-16:00 「高圧送電線と電磁波の健康影響」 中村多美子(弁護士・リブラ法律事務所) 16:00-16:10 休憩 16:10-17:00 総合討論 17:00 閉会の辞 開催趣旨今回のSTS学会シンポジウムは、福岡で開催することとなりました。福岡を含む西日本地域(九州・山口・沖縄地域) のローカルな特徴は、大型開発事業(公共事業と民間事業の双方を含む) が数多く実施され、それにともなう安全・環境上の対立抗争(言葉の次元からみれば論争) が数多く発生してきたことです。 歴史的に最も重要なケースは、いうまでもなく水俣病事件でしょう。今現在における最重要ケースは、おそらく沖縄米軍基地をめぐる問題であり、中でも最近とくに注目を集めているのが、名護市辺野古への米軍基地移転問題です。沖縄については観光開発や港湾開発による環境破壊も重要問題となっています(泡瀬干潟等)。他にも西日本地域には、諫早湾干拓問題、川辺川ダム問題、山口県上関の中国電力原子力発電所建設問題、九州電力の川内原子力発電所増設問題、同じく玄海原子力発電所プルサーマル運転問題、宮崎県小丸川揚水発電所をめぐる環境問題(とくに宮崎県綾町の照葉樹林を横切る送電線建設問題)、など数多くの重要ケースがあります。 これら大型開発事業の実施に際しては、中央政府、地方自治体、関連業者、住民、その他多くのセクターに属する多様なステークホルダーたちを巻き込んだ対立抗争が展開され、その一環として科学論争が展開されてきました。各セクターとも一枚岩ではなく、セクター横断型の複雑な対立抗争の構造が見られます。権力対住民という単純な二元図式が常に当てはまるわけではありませんし、2つの集団の専門性の差異という基準(専門家・非専門家図式) で区別されるのでもありません。市民科学が対立抗争の現場で生かされるケースもあります。 本シンポジウムでは、そうした科学論争が、大型開発計画をめぐる対立抗争の一環として、どのような機能を担って来たかについて検討し、それがより建設的な機能をになうようになる可能性を模索します。 世話人: 吉岡斉(九州大学) 平川秀幸(大阪大学) 塚原東吾(神戸大学)
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