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2017/10/21 Saturday 15:53:59 JST
 
 
2010年度受賞者の研究経過報告(小門穂) PDF プリント メール

柿内賢信記念賞研究助成金
2010年度受賞者の研究経過報告

奨励賞

課題名
生殖補助医療の規制づくりにおける市民参加
―フランス生命倫理全国国民会議の検討から―

小門 穂(大阪教育大学教育学部非常勤講師)

柿内賢信記念賞奨励賞の授与に感謝申し上げます.研究を深めるチャンスをいただけまして,大変励みになりました.現時点での報告を致します.

成果の概要

本研究は,フランスにおいて生命倫理法の第二回改正準備作業の一環として2009年に実施された生命倫理全国国民会議に関する文献調査および関係者へのインタビュー調査を通じて,生殖補助医療に関わる規制の作成や維持への「市民参加」について,それが必要とされた理由や,法改正における重要性,参加した市民の認識の分析を目的とする.

生命倫理全国国民会議とは2011年の生命倫理法改正に先立ち,これまでの議論が議会と専門家だけに限られていたという反省にたち,コンセンサス会議をモデルとして専門家と市民の対話を促すイベントである.

生命倫理法改正における生殖補助医療に関する争点の一つは,代理出産の禁止を維持するかどうかというものであった.生命倫理全国国民会議では,生殖補助医療についての公開フォーラムの時間の半分以上が代理出産について割かれ,市民パネルは全員一致で禁止の維持および外国で代理出産により出生した子どもの身分の安定のための措置が必要であると勧告した.

研究の進行状況としては,2011年中に関連論文や法改正審議録などを対象とする文献調査を実施した.

その結果,生命倫理全国国民会議の勧告が法改正審議において全面的に重視されたわけではないことが分かった.例えば,2010年秋以降,国会での法改正審議が開始されると,代理出産については委員会審議で却下され,本会議で審議されることなく禁止が維持された.禁止維持の理由について市民パネルの見解は根拠の一つとされたが,子の身分について不安定な現状について本会議で審議されることなく改善されなかった.

現時点では,私的な領域の価値観を公共社会の領域での規制作りに取り込むために「市民参加」というお墨付きが必要とされたのではないだろうかと考えている.

引き続き2012年3月にインタビューを含めた現地調査を行い,2012年中に科学技術社会論学会および日本生命倫理学会において報告するつもりである.

最終更新日 ( 2012/01/30 Monday 18:57:33 JST )
 
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