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科学技術社会論学会 (Japanese Society for Science and Technology Studies)  
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2017/12/16 Saturday 14:18:22 JST
 
 
2012年度受賞者の研究計画要旨 PDF プリント メール

 2011年度受賞者

研究計画要旨

研究課題:

原子力災害後の女性運動と科学技術―放射性物質をめぐる女性たちの経験・実践の記録と分析
水島希(東京大学情報学環)

研究計画要旨

福島第一原子力発電所事故の後、全国で放射線量測定や被ばく低減のための市民活動が盛んになった。中でも「母親」たちの動きは大きく報道されたが、福島第一原発に近い地域だけでなく、一般に「被災地」とは認識されていなかった関東地域においても、「母親」らによるインターネットサイトが次々と立ち上げられ活動が行われた。こうした動きに対し、専門家や行政からは過剰反応で非科学的、感情的な行為であるといった非難が向けられ、女性運動の側からは母性主義の強化を懸念する声もあがった。

母親たちによって行われた放射性物質をめぐる活動は、本当に非科学的で母性主義に基づくものだったのだろうか。ホームページや提言書などを対象とした予備調査では、居住地域での放射線量自主測定をはじめ科学的データの収集や情報公開、行政および教育機関との交渉といった実践的活動が行われたことがわかっている。こうした「母親」たちの活動は、政府データとは異なる、ある特定の地域における科学的データの取得と利用を目指しているという点で科学主義的な側面を持っており、科学の民主化や、科学という営みが持つジェンダーバイアスを考える際に有効な事例の一つとみることができる。

そこで本研究では、関東地域の母親たちの懸念を発端に立ち上げられた放射性物質に関する実践活動の詳細を記録し、使用されている「科学」の内容、活動を行った女性たちの経験や科学技術に関する認識を調査する。また、過去の参照点として、チェルノブイリ原発事故を契機として放射性物質測定活動を行ってきた女性たちへの聞き取り調査を行い、現在の動きと共通する理念や質的差異を検討する。さらに、こうした活動の中にみられる理念や態度を整理し、科学技術に関するフェミニズム理論、たとえばダナ・ハラウェイが提唱した「状況に置かれた知」概念などを用いた分析を行うことにより、実践との接合点を探りたい。

 
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