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科学技術社会論学会 (Japanese Society for Science and Technology Studies)  
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2019/06/25 Tuesday 21:08:58 JST
 
 
2005年度受賞者の成果報告 PDF プリント メール

2005年度受賞者の成果報告

「日本の科学技術政策形成における非営利組織の役割」
特定非営利活動法人サイエンス・コミュニケーション 榎木英介 春日匠

報告者は、柿内賢信記念賞研究助成金、実践賞研究助成金を受け、国内外の科学技術振興に関与するNPO(非営利組織)や市民団体の動向に関して、文献的検索を中心に調査検討した。

調査の結果、アメリカでは、全米科学振興協会(AAAS)や憂慮する科学者同盟といった、会員数10万人規模のNPOが複数存在しており、科学技術政策に関する情報を収集し、政策提言を行っている実態を知ることができた。欧州においても、サイエンスショップの発達に代表されるように、政府や企業とは独立した市民ベースの科学技術関連NPOが数多く存在しており、その中には科学技術政策提言を行うものも含まれている。

これに対して日本では、2003年に特定非営利活動法人法(NPO法)が改正され、NPO法人の活動分野の中に「科学技術の振興」が取り入れられた。2006年6月末現在、1000法人程度が「科学技術の振興」を活動分野に含めている。市民科学研究室がその代表的な例である。しかし、財政規模および構成メンバーともに欧米に比較しても貧弱であり、科学技術政策のステークホルダーとして認識されていない実態が明らかになった。

しかしながら、科学技術白書で繰り返し述べられているように、科学技術政策に市民や多方面の意見を反映させるために、NPOに対する期待が高まっており、日本においても科学技術政策に意見を述べることができるNPOが複数存在すべきであると考えている。

そこで、報告者は、自らが主宰するNPO法人サイエンス・コミュニケーションを日本における科学技術政策提言NPOのモデルとするために、科学技術政策関連の情報収集を行い、得た情報をインターネットや雑誌にて提供するといった活動を行った。

まず、報告者およびNPO法人サイエンス・コミュニケーションは、インターネットや新聞雑誌等にて科学技術政策情報を広く入手し、それらをメールマガジンおよび月刊誌「バイオニクス」(オーム社)にて広く公開した。メールマガジンは2005年10月末の時点で1642部であったが(2005年10月30日)、2006年10月末には2151部(2006年10月29日)と500部増加した。「バイオニクス」連載では、2006年5月号に掲載した「子どもと歩む研究人生」(榎木英介、林衛執筆)が、男女共同参画学協会連絡会シンポジウム(2006年10月6日)の公式資料として配布されるなど、反響があった。また、同シンポジウムには榎木が講演の講師として招待された。

これと同時に、NPO法人サイエンス・コミュニケーション会員向けの科学政策勉強会を2回、一般に公開した科学政策勉強会を1回開催した。

会員向けの政策勉強会は、2006年4月25日および9月17日に開催した。前者では、濱田真悟氏(NPO法人サイエンス・コミュニケーション理事、科学技術政策研究所)に、科学技術政策決定におけるデルファイ調査等の現状、およびフランスにおける科学技術関連NPOの動向について講演いただいた。後者では、榎木が内外の科学技術NPOの動向に関する調査報告を行い、サイエンス・コミュニケーションの今後の展望について講演した。

一般向けの科学技術政策勉強会は2006年6月11日に東京にて開催した。筑波大学の小林信一教授を講師に向かえ、近年の日本の科学技術政策の動向についてご講演いただいた。二回目の勉強会は一般公開し、20名ほどの一般参加者が来聴された。参加者は政党の政策担当者や科学系の学会の関係者など多岐にわたり、密な議論を行うことができた。

また、科学技術政策情報を収集するために、サイエンス・コミュニケーションの会員に各種の審議会の傍聴を依頼している。また、サイエンス・コミュニケーションの会員や応募者が、他団体の主催するシンポジウム等に参加し、科学技術政策に関する意見交換を行っている。

こうした活動の結果、科学技術政策に関心の深い研究者やマスメディア関係者との緩やかなネットワークができつつある。日本物理学会や男女共同参画学協会連絡会等の関係者とは意見交換を行っている。また、いくつかの民間企業や公的機関から提携の依頼を受けている。榎木は読売新聞の取材に応じ、研究費の不正流用に関して意見を述べた(2006年9月10日掲載)。

そのほか、総合科学技術会議が発表した第3期科学技術基本計画案に対してパブリックコメントを提出したほか、科学技術週間に際してサイエンスカフェを開催し、科学技術振興機構が主催するサイエンスアゴラ2006に協力団体として名を連ねるなど、科学技術振興政策の一端を担う活動も行った。

以上のように、この一年の研究および実践活動において、科学技術政策の情報収集能力を高め、また、団体としての知名度等も向上させることができた。今後の課題としては、より詳細な科学技術政策に関する情報を収集できるようにすることがまず挙げられる。現在では報道等の二次情報の収集が主体であるが、政策担当者や政党関係者との交流などを行い、より一次情報に近い情報を収集したい。現在行政関係者との交流を行っており、近いうちにそれを実現したい。

また、科学技術政策に関する政策提言を行うことを将来的な目標とし、準備を進めていきたいと考えている。そのためには得られた政策情報を読み解き、それに基づき具体的な政策の対案を提出することが必要であり、自らの科学技術政策に関する理解をより高度にしなければならない。報告者は、科学技術政策に関する情報交換や議論を行うために、SNSサイト(ソーシャルネットワークサイト)を立ち上げ、実験的に運用を開始した。現在はサイエンス・コミュニケーションの関係者を中心に、科学技術政策の動向をもとに意見交換を行っている。近々このSNSサイトをより有効活用するために、学会関係者等の科学技術政策に関心のある人たちにも参加を呼びかけ、意見を交換し、科学技術政策に関する理解を深め、政策提言を練り上げていくことを目指したい。

以上研究成果を報告させていただいた。この場を借りて、上記のような実践活動に助成くださった財団法人倶進会および日本科学技術社会論学会に御礼申し上げる。

生殖補助医療受診に対する「抵抗感」の分析-各種ART専門職との意識の相違に注目して-
竹田恵子(大阪大学大学院人間科学研究科)

柿内賢信奨励賞の授与を受け、質問紙調査と生殖補助医療を提供する医療専門職50名にインタビュー調査を実施することができました。現在、質問紙とインタビューデータの分析を行っています。1年間でここまで効率よく調査を実施できたのは、助成金を受賞できたからだと思っています。心より感謝しております。

今後は本調査で得られたデータを生かして、来年度中に研究成果の第一報を公に出せるよう努力します。今のところ、学会発表と専門雑誌への投稿を考えていますが、まだ分析段階のため、どこの学会で発表するのか、論文をどこへ投稿するのか未定です。おそらく所属学会のいずれか(日本社会学会、科学技術社会論学会、日本保健医療社会学会、日本質的心理学会、日本生殖医学会)で学会発表および論文投稿を行うことになると思いますが、今後の分析結果によっては、これ以外の学会や研究会等での研究成果報告もあり得ると考えています。

インタビュー調査により得られたデータの分析は、数ヶ月から半年を要すると考えていますので、具体的な報告は、それ以降になると考えていますが、研究成果は必ず報告いたします。

最終更新日 ( 2006/11/14 Tuesday 04:42:20 JST )
 
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