科学技術社会論学会会長 中島秀人
まず、会員の皆様に、学会の新しい体制についてご報告いたします。理事・監事選挙後の新メンバーによる4月10日の理事会(本年度第1回)で、私、中島秀人が会長として再任されました。また、副会長として、藤垣裕子理事、塚原修一理事をご承認いただきました。新体制で学会の発展にさらに努めていく所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
すでに年頭にもご案内しましたとおり、科学技術社会論学会は、本年の10月で、設立10周年を迎えます。その際の設立趣意書には、「科学技術と社会の界面に生じるさまざまな問題に対して、真に学際的な視野から、批判的かつ建設的な学術的研究を行うためのフォーラムを創出することを目指し、科学技術社会論学会を設立するものである」とあります。
東日本大震災と、それによって引き起こされた福島での原子力発電所の事故は、本学会の活動のあり方に、大きな課題を突きつけています。果たして科学技術社会論学会は、設立の趣旨に応える活動をしてきたか。そして、進行中の事態に私たちはどのように立ち向かうべきなのか。本年度は、これまでの10年間の活動を総括点検し、時流に流されがちだった学会活動の見直しを図っていくべきと考えます。
本年度のもう一つの課題は、科学技術社会論学会の活動の国際化です。昨年度実施されました4Sとの合同学会は、予想をはるかにしのぐ参加者を得る大成功となりました。実行委員の皆様のご尽力に感謝すると同時に、今度はその活力を学会全体が受け取って、本学会が国際的な地歩を確立していくべきと考えます。具体的には、東アジアおよびオセアニア、さらには東南アジアやインド地区との協力関係を強化していくと同時に、海外会員の制度も検討すべきではないでしょうか。その成否は、これまでの学会活動に対する建設的な自己批判をできるかに関わっています。これ成し遂げ、世界最高水準の学会を目指す一里塚としようではありませんか。
2011年5月1日
科学技術社会論学会ニュースレター2011年度1号(2011年5月20日発行)より転載