発売日:2020/05/21
出版社: 玉川大学出版部
ISBN:978-4-472-18318-8
内容紹介
東日本大震災以降、科学者の助力を得ながら市民による放射線測定などを行う姿が印象付けられた。そのコミュニケーション活動には留まらない、科学者や専門家と市民との多様な関わりについて考察。「市民科学」「医学・臨床研究に対する市民の参画」「当事者研究」の三点から、論考12本を収録し、三点の相互関係を浮かび上がらせる。
目次
特集=市民参加を超えて
- 市民科学、医学・臨床研究への市民参画と当事者研究の相互関係を考える(原塑、水島希、東島仁、石原孝二)
- 日本におけるオンライン・シチズンサイエンスの現状と課題(一方井祐子)
- 福島原発事故後の市民による放射線計測活動の意義(上田昌文)
- 原子力をめぐる科学技術イノベーションガバナンスへの道─福島原発事故後の市民科学に関する日本-ベルギー共同研究プロジェクトからの示唆(ミヒェル・ヴァン・アウドヒュースデン、ヨーク・ケネンス、吉澤剛、水島希、イネ・ヴァン・ホーイヴィーヒェン)
- 当事者研究の新たな歴史を紡ぐ(綾屋紗月)
- 精神医学における当事者参画の動向─英国の事例を元に(田中慎太郎)
- 患者・市民参画を考える─国内調査からみた人の試料・情報を用いた観察研究の現状と展望(東島仁、藤澤空見子、武藤香織)
- 医学研究への患者・市民参画はどのような理由で正当化できるか(丸祐一)
- 製薬企業でのPatient Centricityに基づく活動の試み─患者の声を活かした医薬品開発の動向(林元みづき、庭田祐一郎、伊藤哲史、植木進、内田雄吾、関洋平、西川智章、岸本早江子、神山和彦、高杉和弘、近藤充弘)
- 信頼できるがん情報の提供と研究における患者・市民の参画の試み─国立がん研究センターがん対策情報センター「患者・市民パネル」のこれまでの活動と今後(八巻知香子、高山智子)
- 日本再生医療学会による社会とのコミュニケーションの試み(八代嘉美、標葉隆馬、井上悠輔、一家綱邦、岸本充生、東島仁)
- 研究で用いたゲノムデータの共有に関する患者・市民の期待と懸念─研究者との対話を通じた試み(高島響子、東島仁、鎌谷洋一郎、川嶋実苗、谷内田真一、三木義男、武藤香織)
- 患者が未承認薬を「試す権利」は保障されるのか─米国未承認薬利用制度の概要から(中田はる佳)
論文
- 生殖技術における生政治の作動─その権力構造と議論に表れた概念配置の分析(柳原良江)
- ゲフィチニブの開発過程における臨床試験参加者および一般の服薬者の役割─副作用リスクの公正な分配(花岡龍毅)
- 欠如モデル・一方向コミュニケーション・双方向コミュニケーション─科学技術コミュニケーションにおける中核概念の再配置(内田麻理香、原塑)
研究ノート
- 2018年度科学技術社会論・柿内賢信記念賞 特別賞受賞記念講演 原子力報道─私の実践と研究(七沢潔)
書評
- 内田隆『科学技術社会の未来を共創する理科教育の研究─生徒の意思決定・合意形成を支援する授業』(八巻俊憲)
- 三上直之・立川雅司『「ゲノム編集作物」を話し合う』(吉田省子)
- 江間有沙『AI社会の歩き方─人工知能とどう付き合うか』(鈴木貴之)
- 山口富子・福島真人(編)『予測がつくる社会─「科学の言葉」の使われ方』(林真理)
- 定松淳『科学と社会はどのようにすれ違うのか─所沢ダイオキシン問題の科学社会学的分析』(立石裕二)
- 本堂毅・平田光司・尾内隆之・中島貴子(編)『科学の不定性と社会─現代の科学リテラシー』(藤垣裕子)