2014年度科学技術社会論学会シンポジウム
「地球環境問題に立ち向かう『知』をどのように育てていくのか?」
(企画担当理事 増田 耕一)
世界の人間社会は、生物多様性・物質循環・気候など複数の局面で地球環境の限界にぶつかっています。人間社会が持続可能なものになっていくためには、環境対策にとどまらず、開発のありかたにもかかわる社会の変容を必要とするでしょう。そのために、学術研究のありかたも変わっていく必要があるでしょう。
第1に、研究活動にステークホルダー(stakeholder、利害関係者)が研究者と対等にかかわるべきだという考えがあり、特定地域の問題解決のためには、すでに実践されています。しかし、世界規模の問題解決には、このようにして得られた知を、もっと広い地域で、違った構成のステークホルダーとともに生かしていく必要があります。そこには、知を提供する側・受け取る側のそれぞれの課題があるでしょう。
第2に、研究者の社会への働きかけに、対立する立場のひとつを支持するアドボカシー(advocacy、唱道)を含むことがありえます。研究者にとっては、アドボカシーとのかかわりかたを律する規範が、社会的意思決定の側では、アドボカシーを含む知をどう使うかが課題となるでしょう。
このシンポジウムでは、この2つの主題に関連する4人のかたの講演と参加者のみなさんとの討論を通じて、地球環境問題に立ち向かう『知』をどのように育てていくのか考えていきたいと思います。
日時:
2014年9月6日(土)13:00~16:30
場所:
航空会館 501・502会議室
(東京都港区新橋1-18-1, http://kokukaikan.com/about/access )
※1:当日入場が可能です。また非会員の方もご参加が可能です。
※2:会場の都合上、会場が手狭になる可能性がございます。あらかじめご了解を頂きますようお願いいたします。
当日プログラム
13:00~13:05 開会挨拶 藤垣裕子(東京大学)
13:05~13:15 趣旨説明 増田耕一(海洋研究開発機構)
13:15~13:45
堀尾 正靱 (龍谷大学)
「脱温暖化に向けた地域社会変革の課題と研究者に求められる方法論および倫理規範」
13:45~14:15
佐藤 哲 (総合地球環境学研究所)
「科学者とステークホルダーの相互作用による知の共創 – 地域環境知という考え方 -」
14:15~14:45
朝山 慎一郎 (国立環境研究所)
「科学者は政策にどこまで踏みこむべきか? – 地球温暖化問題をめぐるアドボカシー -」
14:45~15:00 休憩
15:00~15:30
松浦 正浩 (東京大学)
「ステークホルダー合意形成における科学者・専門家の役割 -共同事実確認の概念-」
15:30~16:30 総合討論