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投稿日 2013年10月1日

2013年度シンポジウム「地球温暖化と科学コミュニケーション」を開催

  • 開催日
    2013年9月27日

9月27日、科学技術社会論学会と北海道大学CoSTEPが共同でシンポジウムを開催しました。テーマは「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」です。

藤垣裕子学会長は「このテーマは、いまIPCC進んでいる議論とも関係するとてもタイムリーなものです。また論点も、“科学的知見と価値との関係”や、“どこまでが専門家が決めるべきことで市民が決めるべきことは何か”など、学会で盛んに議論してきた論点です。今日ここでの議論を楽しみにしています」と挨拶し、シンポジウムが始まりました。

パネリストは、松王政浩(北海道大学)、江守正多(国立環境研究所)、三上直之(北海道大学)の3氏。それぞれ、哲学者、科学者、社会学者としての立場から論を展開しました。皮切りは、哲学者の松王氏。「リスクアセスメント(事実判断)とリスクマネジメント(価値判断)を分離することができるのか」「温暖化をテーマにWWViews(市民参加の一手法)を実施して何かが変わったのか?」など、江守氏、三上氏それぞれに問題提起。前半の1時間は、両氏がこれに応答する形で議論が進みました。休憩を挟んで後半は、「これまでの議論では“地球温暖化問題に固有な論点”が出ていない」という江守氏の発言を承け、松王氏、三上氏が応答する形で出発。3氏入り混じれて、真摯な議論が続きました。

今回のシンポジウムでは、二つの趣向を凝らしました。ひとつは、予想される論点を事前に整理し、参加者に基本的な情報を共有するために、事前に「ガイドブック」をCoSTEPウエブサイトで公開した点です。もうひとつは、“ワインやビールを片手に議論する”というスタイルです。シンポジウムとは、”to drink together”を意味するギリシア語sympineinに由来する語です。宴会に集まった人々が、司会者のリードのもと問答を繰り返して論点を絞り込んでいく、哲学者プラトンの著作『饗宴』(symposium)にならい、2時間のシンポジウムが終わった後にさらに30分間、フリートーク&ドリンクの時間を設定。参加者が思い思いにパネリストの3氏を囲み、議論を続けました。

シンポジウム会場に来場したのは全国から63名。Ustream中継を介して延べ100名以上がオンラインで参加しました。中継映像は今もYoutubeで見ることができます。

本記事は北海道大学CoSTEPが作成した記事を、許可を受けて再構成したものです。