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投稿日 2025年3月22日

『無知学への招待 ―〈知らないこと〉を問い直す』

鶴田想人,塚原東吾 編著(明石書店 2025/2/15

無知学は「知らないこと」を批判的に捉える視座として科学史の文脈で生み出されたという。知識とは何かという科学論的な問いだけでなく、知識の偏在とその社会的な課題について取り組んできたSTSにとっても、無知の偏在とその社会的課題というテーマは切っても切り離せないものでありながら、必ずしもその議論が活発になされてきたわけではない。科学史においても、無知の前向きな意味合いについての取り組みはまだこれからであると述べられており、既存の議論との接合の試みがなされる必要があるだろう。本書は、『無知学への招待』というそのタイトルが示すように、入門書としてそのような試みを促すきっかけを提供するものである。

【評:見上公一】