上田貴子,西澤泰彦 編(京都大学学術出版会2025/02)
日露戦争後、日本が進出した満州。本書は、医療・畜産・林業・工業といった技術が満州に導入され、在地(現地)社会の影響のなかで変容していった様相を描いていく。たとえば鴨緑江では、木材輸送のために和歌山・奈良の日本式筏が持ち込まれた一方、中国式筏と融合した日中折衷式筏も生まれ、輸送の効率化と資源の枯渇をもたらした。このような筏はまだ現地にわずかながら残っているという(第6章)。日本だけでなく後金や李氏朝鮮からの歴史を背景に、多様な人々と技術が交差する満州史は、科学技術と社会・自然の関係を捉えるうえで多くの示唆を与えてくれる。
【評:川本思心】