第8回年次研究大会事務局長 中村理
2009年度の年次研究大会を11月14、15の両日に早稲田大学にて開きました。第8回となる今年度は200名を超える方に参加していただき、44の一般研究発表と10のワークショップを無事に行うことができました。一般研究発表では14名が新規に会員資格を得て登壇されています。このように、大会の開催は会員を拡大し、新たな議論を取り込むことにつながりました。また、ワークショップでは登壇者40名ほどのうち約半数を非会員から迎え、学会の中に閉じこもることのない議論を盛り上げていただきました。発表内容は、科学史・哲学に基づいた考察を導入するものから現場における科学コミュニケーションの実践報告まで、今年も多岐に渡りました。これは学会が様々な視点から科学技術社会論をすすめていく場として機能していることを良く示しています。このうち、環境にかかわる主題を掲げる発表が相対的に多く見られたのは、今大会の一つの特徴でした。なされた議論は、次の大会以降にさらに発展していくものと期待されます。
合わせて、初日の午後には総会、柿内賢信記念賞研究助成金授与式、そして記念講演が行われました。授与式では4つの研究課題への助成が発表され、今回も着実に新しい研究が支援されることとなりました。記念講演は科学ジャーナリストで元NHK解説委員の小出五郎氏にお願いし、長くマス・メディアに関わってこられた経験から仮説の検証について非常に有益な議論をしていただきました。
運営においては、予稿集を参加者に配布した上でオンライン版も公開することとしました。また、一般研究発表では30分の発表を3つ含む90分を基本にしました。こういった点については、今後も皆様の声をもとに議論してゆくことができれば幸いです。大会中は初日と二日目で会場が異なり、マイクの機能しないセッションもあったなど、大会事務局による参加された方へのサポートには至らない点が多々ございました。それにもかかわらず、このように盛況のうちに大会を終えることができたのは、ひとえに会員の皆様をはじめ、参加された方々にご協力をしていただいたおかげです。ここに厚くお礼を申し上げます。2010年度の年次研究大会は、国際科学技術社会論学会(4S: Society for Social Studies of Science)と共同して開かれます。皆様には、これからも積極的なご発表・ご参加をしていただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
科学技術社会論学会ニューズレター2009年度5号(2010年1月21日発行)より転載
(参加者)
会員 127名
学生会員 21名
非会員 61名
総計 209名
(発表)
一般セッション 16件(講演数44)
ワークショップ 10件(講演数36)
セッション総数 26件
「学会の活動」『科学技術社会論研究』9, 168(2011)より転載